笹子峠周辺 大沢山(1450m)、大洞山( 1403m) 2011年1月22日
所要時間 8:03 三ツ星集落奥−−9:07 1450m峰−−9:40 大沢山 9:54−−10:59 摺針峠−−11:15 大洞山 11:29−−12:01 林道に出る−−12:06 三ツ星集落奥
概要
稜線南側の三ツ星集落から半周遊。大沢山→摺針峠→大洞山の順に歩いた。1450m峰の西尾根は道は無いが藪もなくまずまず快適に歩ける。稜線に達すると登山道に合流するが落ち葉に覆われそれまでと変わらぬ状況。大沢山直下で南アルプスの展望が開ける。摺針峠は笹子駅方面の道もあった。大洞山は落葉樹の散在する明るい山頂。帰りは南西尾根を下ったが、まだ檜植林が幼木で藪状態で歩きにくく、素直に摺針峠経由で下るのが正解だった。
当日朝に出発して一宮御坂ICで降りて国道137号線を上がっていく。道路脇の気温表示は-5〜-6℃を示しており路面は湿ったように黒くなっている。これは凍結寸前の状態なので注意しながら走行する。登りだからいいが下りでカーブはイヤな状況だ。カムイ御坂スキー場前で左に入り、細い道を下って橋を渡り集落の中を上がっていく。予想通り南向きで凍結箇所はなく、そこそこ急坂だが安心して走行できた。やがて橋を渡るがこの東側の尾根を登る予定で車を置きたいが、近くに駐車スペースが無いのでもう少し先まで上がると牧場らしき広大な開けた場所に出た。ここなら車を置いても迷惑にならないので置かせてもらう。出発準備をしていると給水車がやってきて私が止めた近くに車を止めて給水作業を始めた。後から分かったことだが、リニア実験線の工事関係だったようだ。
この橋からスタート | ここから斜面に取り付く |
尾根上は植林。もう少しで暗い檜帯に | 植林を抜けて自然林に。鹿の糞多数あり |
ザックを背負って林道を下り、橋を渡ってすぐ斜面に取り付く。最初は落葉樹、その上部は檜植林の急斜面で、鹿道を使ったりしながらジグザグに高度を上げていく。やがて落葉樹林に変わってもまだ急な尾根が続き、時々登山靴を滑らせながらグイグイ登っていく。ここは鹿の糞がたくさん落ちており、よ〜く探せば鹿の角が見つかるかもしれない。木の幹は鹿の食害があちこちに見られた。
1260m肩 | 刈り払ったような筋 |
1260m肩でようやく傾斜が緩みほっと一息つける。その先はもう急な箇所はなく明るい落葉樹林の尾根を闊歩する。そして主稜線に達すると地形図には道の表記は無いが、案内標識が立った1450m峰に到着、このピークを「ボッコノ頭」と呼んでいた。なんと今来た尾根を指して「御坂町藤野木」と書いてあるではないか。もちろん間違ってはいないが、私が歩いた感じでは藪は無いが道は無く、案内標識も目印も皆無だった。それとも1260m肩から南西に下る尾根に明瞭な道があるのだろうか? まあ、ここは南でも西でも適当に下れば必ず道に出るので尾根を適当に下って大丈夫だけど。
1450m峰 | 1450m峰から東に向かう |
標識があるのだからここからは明瞭な登山道だと思ったら、落ち葉で覆われているせいか今までの尾根歩きと大差ない状況に思える。もちろん、太い尾根上を行けばいいのでルートを間違える心配は無いが、道があるのかないのか分からないようなどこでも歩きやすい地面が広がっていた。地形図に破線が書かれていないだけはある。でも静かでのんびり歩ける尾根でいい。ただ、延々と落葉樹林が続いてすっきりと展望が得られる場所が無い。北には奥秩父、背中の方向には南アの白い3000m峰が樹林越しに見えているのだが、枝が邪魔して写真を撮る気分にはなれない程度の景色だった。
鞍部付近から見た大沢山 | 最後の登り |
大沢山西側直下から見た南アルプス(クリックで拡大) |
1330m鞍部から最後の登り。ここは踏跡が明瞭になって登山道ありと言える。もうすぐ山頂というところで1箇所だけ西側の展望が開けた場所があり、南アが北から南までずらっと並んで展望でき、今までの欲求不満を解消できた。塩見も見えたから満足だ。仙丈ヶ岳は北岳の影で見えるわけがないと思っていたが、帰ってから「写真判定」した結果、大仙丈ヶ岳は頭を出しているのが確認できた。
大沢山山頂 | 大沢山から見た富士山 |
大沢山から見た富士見台、棚横手山、奥秩父 | 達筆標識 |
平坦で広い大沢山山頂は落葉樹林に覆われて展望はイマイチだが、ベンチもあって休むにはいい場所だ。今は葉が落ち切って日当たりがあるのもいい。まだ新しい木製の山頂標識が立っており、それなりに山梨県か地元で整備しているらしい。達筆標識も設置されているが、山名事典発行後に設置されたはずなので2000年代に入ってからのものだろう。通常、背面に設置年月日が記載されているのだが、この標識はほとんど木の表面に張り付いた状態で裏側を覗き込むのは不可能だった。
1450m峰から北に下る | 1355m峰付近の笹 |
1355m峰付近から見た小金沢連峰(クリックで拡大) |
少々休憩して出発。平日の疲れが抜けきれず足が重く、少しの登りで息が切れる。1450m峰で進路が右に曲がるが道のグレードは変わらずだ。1355m峰付近はカラマツの植林帯で、ここだけ道の両側に笹が登場した。中央アルプスでもそうだが、カラマツは笹を呼び込みやすいようだ。北側斜面は植林されずに自然林のままだがそこに笹はなかった。
摺針峠 | こんなところに達筆標識 |
緩やかに下って最低鞍部に標識が登場、そこが摺針峠だった。地形図では三ツ星集落から破線が上がっているが実在するのか疑問視していたが、どうやらちゃんと道があるようだ。それどころか反対側には「笹子駅」の案内もあり、北側にも登山道が存在するらしい。たぶん峠から東に下る沢沿いにある林道に出るのであろう。峠には達筆標識がかかっており、裏面には設置年月日ではなく再訪した2004.5.18が書かれていた。設置は相当古い(20年以上前)とみた。
1350m肩 | 明るい尾根を登る |
分かりにくいが熊棚が2つある | 熊野木登りした爪痕 |
峠から大洞山まで標高差約100mの最後の登りだ。落葉樹で日当たりの良い尾根が続き、体を動かしていれば体感温度は快適だ。1350m肩で左に曲がり、なだらかな尾根を登る。ここもずっと落葉樹林が続き、隙間から真っ白な富士山が見えていた。山頂はもうすぐというところで熊棚発見。それまでも見なかったわけではないが、この付近は上野原よりは熊の密度は低いようで熊棚の数は多くなかった。木に近いづいて幹をぐるっと見てみると熊の木登りの爪痕がくっきりと残っていた。ミズナラ、コナラの類は幹の表面がデコボコしていて爪痕が残りにくいのだが、ここのは写真撮影でもはっきりと区別できるレベルだった。
大洞山山頂 | 南西尾根の方向 |
広い大洞山山頂に到着。大沢山のと同じ木製標識が立っていた。周囲は落葉樹林に覆われてすっきりとした展望は得られないのも大沢山と同じ。まあ、標高を考えればしょうがない。下山であるが摺針峠から道があるのが分かったのでそれを下るのが普通であるが、地形図を見るとここから南西に顕著な尾根が下っており、これを辿れば車を置いた林道までほぼ一直線に下ることが可能だ。途中にカラマツ植林帯さえ無ければ藪の心配もなく、安心して下れると考え、迷うことなくそちらに足を踏み入れた。
南西尾根を下る | カムイ御坂スキー場。結構人が見えた |
植林帯で潅木藪登場 | 植林といってもまだこの高さなので邪魔 |
先のピークが1278m標高点 | まだ潅木藪 |
この尾根も山頂同様落葉樹林だったが少し下ると檜植林帯に突入、これがまだ幼木で檜自体が藪状態だし、まだ背が低くて周囲の日当たりが良く潅木が盛大に成長して藪を構成している。毛糸の帽子を何度も藪に絡め取られながら下っていく。もう少し傾斜があれば重力の助けで強引に藪を突破できるのだが、緩い尾根なのでそうもいかない。
尾根上の藪を避け東斜面を下る | 時々進路を南に変更 |
1278m標高点も幼木で藪状態で尾根直上を下るのはあまりにも鬱陶しいため、適当に下ってもどこかで林道に出られるので少し東寄りに進路変更して成長した檜植林の斜面を下っていった。ここは縦横無尽に鹿道が存在するが、どれもトラバースするような道なので下山では使えず、障害物がない場所を選んでガンガン下る。いい傾斜なのでこういうところこそ藪が出てきても強行突破可能だが、植林が深いので地面に藪はなく、邪魔なのは間伐して放置された木だった。
また檜幼木藪に突入 | 下ってきた斜面を振り返る |
林道に出た | リニア工事に伴う配水管設置の標識 |
傾斜が緩むと再び幼木植林帯で藪状態だが、もう林道は近いだろう。棘付き藪も混じってイヤらしいがどうにか通過して林道に降り立った。ヘアピンを2回曲がってあとはほぼ直線。途中の沢ではリニア工事に伴う水源枯渇対策用配水管設置の標識があった。あれ? リニアのトンネル工事って稜線の向こう側じゃないの?と思ったが、帰ってから地形図をネットで見ると、まだ笹子近くまでしかルートは書かれていないが延伸するとまさにこの直下を通りそうな雰囲気であった。もう工事をやっていて、水源の沢が枯れたのか? でもここに車での沢はちゃんと流れていたけど。
車に到着 |
林道を下ると車を止めた広い草原上部に出た。当たり前だが車は私の1台きりだった。